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もらい泣き
菅原かよ江・45歳

エエイア〜、君からもらい泣き〜。
お気に入りのこの歌を聞きながら高速を走り主人の勤務先の八戸に初めて訪ずれたのは平成十五年三月。 道路には、数日前に降ったという大雪が除雪され、腰のあたりまで積みあげてありました。かなりの驚きでした。 こんなたくさんの雪を見たのは初めてだったんです。当時八才の長女と二才の長男は、それはもう大喜びです。私はといえば、これからこんな雪国で暮らすの? どんな生活が待っているの? 肌に触れる空気も刺すように冷たい。私達は、主人の会社に近いというのと、長女の学校も側にあるということで、このニュータウンに居住を決めました。 なんといっても、理由はそれだけではなく、町並のきれいなこと。見渡す限り洋館のようなステキな家がいっぱい並んでいます。そこを散歩している長男と私。想像しただけで、それはもうワクワクしました。でも現実は、そんなものではなかったんです。四月だというのに外はまだ冬。五月になっても散歩するには風が強すぎて…。 いったいいつになったらポカポカの日差しの中を散歩できるの? なんという所に私は来てしまったんだろう。帰りたい…。 長男と二人、人気のない通りをながめて、たとえようのない寂しさ、むなしさを感じたものでした。それでも長女は、学校に慣れ、友達も出来て毎日が楽しそう。 それだけが救いでした。
あれから二年。 長男も幼稚園に通い始め、私にも少しずつ友達が出来るようになり、毎日がとても楽しく、ちょっとした充実感を味わえるようになりました。ここに住んで良かった。今は、住んでいるこの町が大好き。やっとこんな風に思えるようになりました。今では、「もらい泣き」のCDもどこかになくなっちゃったけど、時々テレビやラジオから流れてるのを耳にすると、わけもなく涙がこぼれちゃうんです。そんな私を見て、優しい主人も、笑いながら一緒にウルウルしちゃったりして。 これが本当の「もらい泣き」だねって。
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